【代表コラム】組織の風土・雰囲気を変える(1)論理優先の雰囲気を変える

論理優先の雰囲気を変える

不確実性が高いことを行動に移す際に、論理的に納得しないと前に進まない(進めない)ことがありますよね。これ、本能的に失敗を恐れているから、行動に移したくない。その結果、意思決定をするための情報収集の時間を必要以上に長く取ったり、意思決定に必要な情報量を多く見積もったりして、意思決定を回避する傾向になりがちです。

これが行き過ぎると、全ての意思決定において、論理(ロジック)優先の雰囲気が組織に蔓延する。論理って、ある意味技術(説得術)だから、例え間違っていることでも、正しいようにロジックを組み立てて説明することができる。つまり、色々な情報やデータがあっても、それを恣意的に選んで、その選ばれたデータをもとに理屈を組み立てれば、どんな理屈もできてしまう。これが何を意味するかというと、はじめに結論ありきで、論理を組み立てることは非常に容易であるということです。これは、政策の策定過程においてよく目にする(気がする)光景ではないでしょうか。

意思決定において論理を過大に優先させるということは、積極的にリスクを取ることが染み込んだ経営・組織でない限り、できるだけ行動を起こさない、もしくは中途半端な低リスクの行動を選択する合理的な余地を与えることになります。これは、個人の意思決定でも同じだと思います。石橋を叩いて渡らない、石橋を叩いて壊す。。。

不確実性が高いことというのは、そもそも意思決定を行う時点では、はっきりとした正解がないわけです。不確実性に対する自分たちの行動とその時々の判断によって、結果が変わって来るものです。ということは、情報を大量に集める時間を取るよりは、ある程度の情報をもとに一旦行動に移してみて、その上で、新たな情報を収集しながら、行動の軌道修正を行っていくほうが、その時々の失敗が小さく済み、結果的に良い結果を得る可能性が高くなる。その観点からも、行動は早く、行動は早く、失敗は小さく、小刻みにですね。

目の前の情報量が多ければ、決断の精度があがるというのは、単なる妄想なのではないでしょうか。目の前に発生している不確実な状況では、先ほど得た情報は今は存在しない情報かもしれない。なので、できるだけ正しそうないくつかの情報をもとに、まずは動いてみる方が不確実性の波に流されない。

不確実性が高いものは、高いものとして受け入れ、必要以上に確実性を担保・確保しようとしない。これが、組織の共通認識(約束事)になると、行動に移しやすく、前向きな失敗に寛容になる。その結果、創造的な行動が誘発される可能性が高まると思います。イノベーションが起きやすい組織風土になるのではないでしょうか。

論理優先の雰囲気を変えた後にもしくは同時に、非論理的な思考の優先度をもう少しあげること。それがイノベーションが起きやすい雰囲気・組織風土を醸成する。そういった観点から、非論理的だと思われがちな、偶発性と直感を生かすことが非常に重要性だと思います。この点についてはまたの機会に。