【代表コラム】【仮題】 世界から学ぶ 北欧、バルト三国から学ぶ日本の未来の創り方

【仮題】 世界から学ぶ 北欧、バルト三国から学ぶ日本の未来の創り方

2019年10月にバルト三国を訪問したことで感銘を受けたことを出版社の方に話したら、雑誌連載や出版も面白いよねということで書いた概要です。これはこれで、結構まとまっているので、掲載します。(あくまで、概要・ドラフトなので、断定口調になっています)

2019年11月5日

日本国内にいると、日本は今だに世界第3位の経済大国であり、これからも先進国であり続けると多くの人が信じている。しかしながら、日本が得意としてきた効率重視、製造業の時代から、付加価値サービス、ITそして、アイディアの時代に、世界経済の構造が劇的に変化をしている。

そのような観点から、日本はすでに先進国ではなくなっている(かもしれない)、自国より遅れていると思っている国が、実際は日本より進んでおり(追い抜かれており)、将来性が高い国が数多く存在する。そのことに気が付き、色々な国や地域から学び、失敗も許容し、勇気を持って変化をしていくきっかけになる内容にしたい。そこには、従属的な働き方や生活ではなく、自分の人生を行きている人たちがいる。

日本が再生するための処方箋は、一つではない。横並び主義が横行し、地方再生においても金太郎飴的な施策が多く、その地域が持つ特徴、資産を活用した、特色ある施策が必要だと思われる。様々な国や地域の成功事例を理解し、自国や各地域にもっとも適したパターンを応用することが大切なのではないか。取るべき施策は、一律ではなく、複数あるべき。

北欧、バルト三国は、人口が非常に少なく、自国のみならず、地域全体で考えても、製品やサービスを販売する市場としても十分なサイズに無い。それにも関わらず、持続的な経済成長を実現している。(後述の「簡易統計数値」を参照)

ことに北欧は、国民一人当たりのGDPは日本をしのぐ規模。また、バルト三国は、1990年初頭に独立して以来、国民一人当たりのGDPを確実に伸ばしている。一方、日本の国民一人当たりのGDPは、1990年は世界第9位、2000年の2位をピークに、大きく順を下げ2018年には26位となっている。(後述の統計数値を参照)

最近、エストニアが、e-Goverment、ブロックチェーン関連で、小国の成功事例として注目が高まっている。もちろんIT産業への注力によっての成功があったのは事実だが、本当に注目すべき本質は、北欧、バルト三国の成功は、目標となる「錦の御旗」を立て、地域が一丸となってその目標実現のために、政策、資金、人材、教育をうまく回して、人が集い、情報が集まり、その結果として経済が回るエコシステムを作ったことにあるのではないか。そして、その進め方は、やはり様々な制約がある北欧諸国が以前から行ってきた方法であった。その方法論を成功事例として、後発のバルト三国では、e-Governmentでエストニアが先行し、Fintecでリトアニアが追走している状況である。(フィンランド→エストニア→リトアニアでの成功ノウハウ、経済開発方法の伝播がうまく機能している)

本稿では、一人当たりのGDPの高さを北欧諸国が1990年代より高いレベルで維持し、バルト三国が北欧諸国の成功パターンをうまく自国向けに取り入れて、自国の成功に向け前進している背景を読み解き、日本が今後、持続的な成長を実現するためのヒントを提示したい。特に、人口が少ない北欧、バルト三国の成功事例は、日本の地方再生の一つのモデルケースになるのでは無いかと考えている。バルト三国では個人レベルでは日本人平均所得を遥かに越える人々が次々と生まれている。

その成功の秘訣、上手く行っている要因は下記と思われる。

  • 国が方針を決める  :総花主義ではなく、一点集中、一点突破型、それに基づく制度や施策
  • 起業の推進     :例)フィンランド 国立図書館に、コワーキングスペース+3Dプリンタ等の貸し出し設備
  • 女性の活躍
  • 教育による付加価値を創造できる人材の輩出  :記憶型ではなく、双方向型の教育
  • イノベーションを起こすための教育
  • 企業(スタートアップ)と教育現場の近さ   :教育とOJTの連携
  • 英語教育
  • EU経済圏の活用   :例)リトアニア SEPA(Single Europe Payment Area)を活用した、Fintec
  • 成功した起業家による資金と経験の効果的なフィードバック  :例)Skype創業者達が、創業者利益とノウハウを、新たなビジネスへ再投下
  • 自国の成功(自国内での成功者)を見て、自分もやれるという自己肯定感

以下は「簡易統計数値」のまとめ。

【統計資料①】

国民一人当たりのGDP:

2018年度は、

北欧:ノルウェー(4位)、アイスランド(6位)、デンマーク(10位)、スウェーデン(12位)、フィンランド(15位)、

バルト三国:エストニア(42位)、リトアニア(46位)、ラトビア(48位)、

北欧各国は、1990年代初頭から安定して国民一人当たりのGDPランクは上位にある。一方、バルト三国は、1990年初頭に独立して以来、大きく順位を上げている。

ちなみに、米国(9位)、日本(26位)、中国(72位)

日本は、1990年は9位、2000年の2位をピークに大きく順位を下げ、2018年には26位となっている。

【統計資料②】

国別 GDP:

国別のGDPランキングでは、日本は、米国、中国に次ぐ第3位を維持してはいるが、米国、中国の総額との差は年々広がっており、日本の成長率は他国に大きく見劣りする。総額GDPにおいても、このままでは地位の低下は止まらない可能性は高い。

1990年から2018年の総額GDPの成長は、米国3.5倍、中国33.5倍、日本1.6倍。

2018年度は、

北欧:ノルウェー(29位)、アイスランド(107位)、デンマーク(38位)、スウェーデン(23位)、フィンランド(44位)、

バルト三国:エストニア(101位)、リトアニア(85位)、ラトビア(99位)、

北欧:ノルウェー(3.6倍)、アイスランド(4.0倍)、デンマーク(2.5倍)、スウェーデン(2.2倍)、フィンランド(1.9倍)、

バルト三国:エストニア(17.2倍,1993年比)、リトアニア(8.0倍,1995年比)、ラトビア(20.6倍,1992年比)、

【統計資料③】

国別人口

地域別人口

東京都 :  13,843

神奈川 :  9,179

埼玉  :  7,322

千葉  :  6,268

首都圏(一都三県)合計:36,612千人 

北欧最大の人口のスウェーデンで、神奈川県の人口程度であり、北欧の総人口は、日本の首都圏(一都三県)の合計の75%に満たない。また、バルト三国の総人口は、千葉県の人口に満たない。北欧とバルト三国の総人口(32,974千人)でさえ、日本の首都圏(一都三県)の合計の90%程度の人口でしかない。

県別、地域別人口(日本)

データ出典:

【統計資料①】

【統計資料②】

国別のGDP

【統計資料③】

https://www.globalnote.jp/post-1555.html

日本 県別ランキング

https://uub.jp/rnk/p_j.html

以上