【BYG Project】山形県西川町を取材しました( 変化へのポテンシャル)

【BYG Project】山形県西川町を取材した

当番組は、1回の取材で完結するのではなく、課題解決の取り組みを、継続して取材していくことにより、その取り組みの過程(プロセス)と成果を視聴者の方々と共有し、解決の処方箋・解決策を発見・創造していく番組です。課題解決の取り組みのプロセスを可視化することで、単に取り組みの成果のみで活動の価値を判断するのではなく、取り組みそのものが生み出した価値を視聴者の皆様と体感、共有していただくための「チャレンジするプロセスを応援する番組」にしたいと考え、番組プロデューサーの角田陽一郎さんと企画しました。

新番組を開始するにあたって、山形県西川町を第一弾の取材先にさせて頂いた理由は、今現在と半年、1年、2年後の近い将来の両方で非常に興味深い対象だと感じたからです。

西川町の取り組みのプロセスそのものを、取材する私たちも継続的に楽しめる気がしました。

実際、現時点で非常に興味深い点(いろいろな点で振り切れていることなど)があり、また近い将来に様々なことが起きるかもしれない期待感があります。その辺りを、番組を配信するにあたって備忘録的に整理したいと思います。

概要:

西川町は、人口の急減、超高齢化、先行き不透明な地域産業・経済など、現代の日本が抱える様々な課題が集積している、ある意味、日本の近未来図です。そして、その課題の集積地に、今年の4月に元官僚の若い町長が就任したことにより、変化が起きつつあると言うのが現在の状況です。

現時点で興味深い点:

西川町は、日本の近未来図、時代の最先端を行く自治体。最少と最高が多い町。

・県内最少人口の町:人口、約4,900人 年間100人ペースで人口が減少(年間2%の減少、日本全体では、年間0.51%の減少。人口減少率は、日本全体の約4倍)

・県内最高の高齢化率(45.7% 2020年10月時点)日本全体の高齢化率は、29.1%(2022年)山形県で一位、全国トップレベルの高齢化率。

・生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)が人口の半分(約2,300人)。日本全体では、約59.4%(総務省統計局 2022年11月概算値による)ちなみに、米国は64.72%(2022年)

ユニークな町長のバックグラウンド:

・地元出身ではあるが、長らく地元を離れていた元官僚の町長が、今までに培ったノウハウと経験を活用しようとしている。

・県内現役最年少の首長(市町村長):菅野大志町長(44歳)が本年4月に就任。元財務省の官僚で、東北財務局に入局、中央官庁に逆出向し、「金融庁監督局総務課地域課題解決支援室」「内閣官房まちひとしごと創生本部事務局」「内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局」で勤務され、地方問題に関する行政側のプロフェッショナル。

官僚出身の国会議員は非常に多く、また官僚出身の知事は47都道府県の半分以上を占めているそうです。しかしながら、全国926町村において、官僚出身の町村長はかなり稀であるとのことです。そういった観点からも、経験値のある人物が小規模な自治体で成果を出して、評価されれば、後に続く人がどんどん出てくるのではないかという期待感があります。

小規模な自治体ゆえに、機動的に動けるのではないか?:

住民や関係人口をうまく巻き込む(自分ごとにする)ことができれば、小規模の自治体なので、PDCAをかなり早く回すことができ、その取り組みの過程と成果が見えやすいのではないか。そして、成果が出たその取り組みをより大きな組織・自治体に素早く還元、適用することができるのではないか。なんとなく、小国(例えば、東欧のエストニア)の成功事例を、日本や他の国が学ぼうとしたことに、通じるように思えたのです。

2019年にバルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビア)を訪ねた際に、小国ながらもエッジが効いた取り組みで、政治的に安定しているとともに、経済が非常に成長していることに感銘を受け、日本の地方再生の取り組みとして参考になるのではと思っていました。(過去のコラムご参照)そして、山形県西川町の取り組みが、何となく、エストニアを思い起こさせました。

エストニアの事例のユニークなところは、

・課題へのアプローチが正しく設計されていたことももちろんあると思いますが、小国ゆえ、とにかくPDCAを速く回すことができ、成果が早く出た。エストニアは旧ソ連に属していた、人口約130万人の小国です。ちなみに、東京23区で一番人口が多い区は、世田谷区で、人口約92万人。そんな規模感です。

・その取り組みと成功事例が先進的であったため、小国の成功事例を大国が見本にした。特にe-Goverment、ブロックチェーン関連での成功事例は世界的にも注目され、各国の首脳がこぞって視察に訪れていた。Skypeの創業メンバーはエストニア出身です。

・その結果、エストニア国内だけでなく、海外との人とビジネスの好循環が起きた。

・エストニアの人が、自分たちの国が近年成し遂げたことにものすごく誇りを持っていたこと。持ち過ぎなくらいでした。

何となく、西川町がエストニアみたいになったら面白いなと。