【代表コラム】平井デジタル改革大臣の発言が取り沙汰されてますが、ちょっと違った角度から考えてみました
平井デジタル改革大臣の発言が取り沙汰されてますが、ちょっと違った角度から考えてみました。
経緯はこちらから https://www.fnn.jp/articles/-/192909
昔、10年くらい前かな、システム開発会社(いわゆる、SIer)の社長やってたんですが、その時に決めてたことが、下請け仕事はやらないということ。最初はかなりキツかったけど、なんとか軌道に乗って大手企業の直受け案件のみで会社を回すことが出来るようになったことを、思い出しました。
当時の開発業界はNTTデータやNEC等のいわゆる大手・準大手のSIerが一次受けで、そこから2次請け、3次請け〜〜 X次請けという無限に近い階層下請け構造があって、上位の発注先の言うことは有無を言わさず従う的な感じで、理不尽なことがまかり通る業界体質でした。言うことを聞く代わりに、仕事を回す的な。。。契約も有っても無いようなもので、上位の発注先の突然の仕様変更や発注キャンセルも我慢や泣き寝入りすることも往々にしてあった時代。こんな業界環境で、イノベーションとか創造的なことができるとは思えず。。。下請け仕事を請けなかった理由は、そんな業界構造を変えない限り、IT業界に未来はないと、突っ張ってたからだった記憶があります。(SI業界を離れて、時間が経つので、今はそのようなことは無いかもしれません。。。)
細かい話はおいておいて、今回なにがまずいかと言うと、「親の背を見て子は育ってしまう」ってことです。
元請けのSIerであるNECに対して、発注元である日本政府が理不尽な要求をし、それをNECが受け入れると言うことは、今回の案件で下請(外注先)企業が存在するかは分かりませんが、今後の案件において、元請けSIerが外注先企業に対して理不尽な要求をすることを、国が暗に認めることになってしまいます。親である国がやるんだから、子である企業もやっていいだろうと。。。これは、業界体質を後戻りさせることであり、重労働かつ理不尽な、魅力なきシステム開発業界を育成!し、優秀な人材、可能性のある若い人材を集まらなくし、その結果、業界レベルの低下を後押しすることになってしまいます。
一方、日本では、大手企業を中心に未だ企業のシステム開発の内製化率は低く、SIerへの依存度が高いのが現状です。つまり、システム開発業界のパフォーマンスの低下は、日本企業のIT力の低下に直結します。企業のDX化が声高に叫ばれ、企業の業績・盛衰がIT力にかかっていると言っても過言では無い今、それを支えるSI業界が疲弊・衰退する危機。。。みずほ銀行のシステム障害の多発もそれが一因かもしれません。
やる気のある優秀なエンジニアの多くは、Webサービス系IT企業、Venture企業や起業に向かっていると感じます。SIer系IT企業への希望者が減少しており、その対抗策として、NECが新卒エンジニアの年収1,000万円制度を採用したのも記憶に新しいところです。
企業のみならず、国、地方自治体までもが、DX化しなければ生き残れないと言う危機感のもと、デジタル庁が開設されることになりました。が、日本のデジタル化を大きく担うSI業界を健全に発展する業界にしないと、DX化も単なる掛け声で終わってしまい、さらなる日本の衰退化につながるのでは無いかと思えてきますね。
PS
私の趣旨は、Sub-Contract(下請け)での開発事業を否定しているのではなく、優越的な地位を濫用した、理不尽な下請け構造がいけないということです。ダメ、ゼッタイ。念のため。